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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第3話 ポルシェな人々
ポルシェにまつわる様々な人々の、本人にとっては誠に真剣な、はたから見ている と実に楽しい愉快な生態をシリーズでお話ししましょう。

その1 火傷をしてもオリジナル

ポルシェのダッシュボードの下側、シートに座って膝からもものうえの辺りの位置にヒーターの温風が出てくる部分があります。そこにはスリット状のプラスチックの黒いカバーがついています。この部分はプラスチックが折れ易く折れてなくなっていることが多く、温風が直接膝やももにあたってしまうことがあります。そこで、もっと高年式のクルマでは壊れにくい形状のものに改良されていて、現在新品パーツと交換しようとこの部品をオーダーすると、この改良された高年式用のパーツしか手に入れることが出来ません。
お客さまの中には、完全なるオリジナルを標榜しておられる方がいます。私も個人的には大変よく理解できますし、可能な限りそうありたいと思っています。が、この手の当時ものの新品はなかなか手に入りにくく、中古品も現在ついているクルマから取り外す以外手に入れる方法はないのが現状です。そこで、お客さまに、普段見えるところではないので現在手に入れられる高年式用のパーツでいいのではないですかとお話ししましたが、黙っておられて返事がありません。しばらくして、私に向かって、

「火傷をしてもオリジナル!、このままでいきます。」

・・・・・・・・、実に恐ろしきはオーナーのこだわり、火傷をする前に当時ものの完品を見つけて交換してさしあげなくてはと思った瞬間でした。

さて、第2話の写真審査の正解を申し上げます。

例題1、はこの時点で見なくても購入を決意していいクルマでしょう。でしょうというのは、すぐに現地から売れてしまったと連絡がありましたので、現物確認が出来ていないので、でしょうなのです。年式とグレードは1969年式911T、色はアイリッシュグリーン内装外装はスタンダードといったところでしょうか。

例題2、は写真審査の段階で×です。が、このクルマを買いたいという方の希望で現地まで行きました。結果はやはり×でした。内装、ドアの立て付けどれをとってもダメと思われましたが、現地では、一瞬で×が出ましたが、相手のオーナーに敬意を表して30分ほどそこにいましたが、意味のない時間でした。年式とグレードは1967年式911S、外装色も内装もオリジナルではありません。