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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第103話 出張修理
Tさん曰く「S代表そんなことを考えていたんですか」

お客さまからバッテリー交換の依頼がありました。翌日の昼にメカニックのTさん(最近外国のお客さまからMagic manと絶賛された)と二人で往診に伺いました。
メカニックのTさんが作業中手持ち無沙汰の私は、隣に並んでとまっていた最新型のフェラリを観察することにしました。
この手のクルマ、大きなエアインテーク、しかも中の下側が平らなインテークのあるクルマを見るとどうしても目がいってしまうところがあります。理由はわかっているのです、それは昔見たCARグラフィクのブロックバンク(注)のマンガです。
フロント二箇所、リアサイド二箇所、ついでにリアフェンダー二箇所のエアインテークの中をじっと覗き込んで見ました。
雨の日乗られないであろうそのクルマは、インテークの中も実にきれいでした。
作業が終了して、帰りのクルマの中で、

Tさん
「代表、さっき一生懸命フェラリを見てましたが何かありました?」
私S
「いや、何もないよ」
Tさん
「あまり真剣に見ていたので、どうしたのかと思って」
私S
「あの手の大きなエアインテークのあるクルマを見る時は必ずその奥を見てしまうのです」
Tさん
「・・・・・」
私S
「奥に何かいないかと思ってね」
Tさん
「・・・・・」
私S
「ウサギとか、何か小動物がいないかと思って」
Tさん
「それって・・・」
私S
「そうです、ああいうところには小動物が住みつくものです」
Tさん
「それってブロックバンクのマンガでしょう」
私S
「さすがTさん。良くわかりましたね」
Tさん
「昔見たCGのブロックバンクのマンガで、あれは確かF1カーだったと思いますけどああいう大きなインテークの中にウサギがいましたよね」
私S
「よく覚えていましたね」
Tさん
「ボクはあんまりに一生懸命見ていたので、何か新しい発見でもあったのかと思って帰りに聞こうと思っていたんです。S代表そんなことを考えていたんですか!」
私S
「ええ、ですが新しいからなのか残念ながらまだ何も住みついていませんでした」
Tさん
「そうですか、ボクも今度インテークの中は注意して見てみます」
私S
「M−HOUSEとしては大切なこころ構えです」
二人して
「大笑い!!!!!」

(注)ラッセル・ブロックバンク Russell Brockbank(1913ー79)
カナダ、オンタリオ生れ。Ridley College卒業後ロンドンに渡りChelsea美術学校に学ぶ。1949年から1960年までアートディレクター(のち編集次長を兼任)として「Punch誌」に籍を置く。61年以降、フリーの(自動車)マンガ家として活躍した。ちなみにこのESSAYの元になっているマンガはBrockbank's Grand Prix(株)ニ玄社刊のP.100にあります。CGの方は調べてみないと今ちょっとわかりません。


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