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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第119話 レストア用語
古いクルマとレストアという言葉は互いに付きもののような関係ありますが、今日はレストアの程度をあらわす言葉の話をしたいと思います。
レストアに金額による程度の違いがあることは当たり前ですが、数年前にそれを距離であらわすことを教えていただきました。今日は簡略化してm(メートル)でお話しますが、クルマからの距離で金額(程度)が異なるというこうです。例えば1mレストアといえば、レストアされたクルマから1m離れた距離から見て破状のないもの、30cmレストアといえば30cmの距離から見て破状のないもの、3cmレストアといえば最大で3cmの距離に近づいて見ても完璧なものということです。当然距離が近くなるにつれて金額が高くなります。
具体的にどう違うかというと、ボルトなどのパーツの仕上げで、1mなら塗装、30cmなら錆び止めメッキ、3cmならクロームメッキというようことなり、またダッシュボードのウッドでいえば、木のグレードの違いと表面処理の違いによって金額が異なり、最終的に距離の違いに現われるということです。
実をいうと、数年前教えていただくまで私にはこういう考えがありませんでした。そんなことも知らなかったのかとバカにされそうですが、私の中にあるクルマのレストアというものは、一種類しかないのです。それはメーカーの工場を出てきた時の状態にするということです。だから、距離によって見え方が違うというのはあり得ないのです。先程のボルトでいえば、クロームメッキされているものはそれ以外の処理はないし、別の処理をされたボルトは使わないのです。
ここまで読まれて多くの方が気付かれたと思いますが、レストアといってもクルマの作られ方によって違いが
あるということです。戦前のヴィンテージカーのように一台一台カロッツェリアが仕様の異なるボディーを架装したクルマとポルシェのようにメーカーの工場で同じものを沢山作ったのとではレストアの方法が全く異なるということです。
だからM-HOUSEの修復の基準はたったひとつしかないのです。それは距離ではなくて、工場出荷時、ファクトリーオリジナル状態なのです。
また機会があったらモノコックボディーの修復のしかたといいますか、ポイントをお話したいと思います。


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