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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第128話 ミツワのころの話ー1
売らなくていいデポの敷地に穴をほって埋めればいい

ポルシェジャパンが設立されてもうかなりの年月が経ちます。その設立に伴ってミツワ自動車がポルシェの輸入総代理店権を失ってからも十年以上の月日が経っています。ポルシェの日本におけるブランドの確立と普及、その他多大な役割を果たした所謂ミツワ自動車時代を折に触れて私なりにとりあげてみたいと思います。
時代的に順序は様々ですが、思いついた時ですのでご理解ください。

いつ頃だったか正確には思い出せないのですが、ミツワ自動車が代理店権を失って純正パーツ
の供給がPJの指定代理店からに変わる、変わったそんな頃のことだったと思います。
当時、ミツワの膨大な純正部品の在庫はどうなるのだろうとポルシェ好き達と話したことがありました。その時、多くの人が多分PJに引き取ってもらうんじゃないかといっていました。私は古いのはどうするんだろうね、ナロー用とかのと疑問を投げかけると、彼等はどうするのかねえといって何か考えがあるようには見えませんでした。そこである人のすすめもあって、901ではじまる部品のすべてを引き取りたいとミツワに申し出ました。
その当時そういった部品、整備施設の担当はある取締役でした。直接面識があったわけではないので、懇意にしている方達にお願いして、901品番のパーツを全部まとめて引き取りたい、ついてはデポに伺ってどんなものがあるのか拝見したいとその取締役に取次いで頂きました。私の気持ちの中に、ほとんど売れることがないであろうパーツだからすべてまとめて引き取る、つまり割安に買いたいという気持ちがあったことも確かでしたし、ポルシェのユーザーの手に渡ってこそ眠れるパーツも生きると考えていました。そして、その金額が数千万円、もしかしたら億になるかもしれないという漠然とした予想もしました。
返事はなかなか来ませんでした。何度もどうなっているのか間に入っている方々に聞きましたが、やはり返事は頂けませんでした。そんな頃こんな話が漏れ伝わってきました。
『我が社は代理店権がなくなったといっても、お金に困っているわけではない。だから、何も売らない。うちの特殊工具やパーツを買いたいという客をデポに行かせないように。最後はデポの敷地に穴をほって埋めればいい。』
この話はかなり側近の方に伺ったので間違いないと思いますが、直接伺ったわけではないので事の真偽は定かではありません。
ただ、ミツワ自動車が自己の資金と責任で在庫していたものをほとんど売れることがないだろうからすべてまとめて引き取りたい、いくらになるかという客の申し出は失礼千万、不愉快極まりなかったと思います。ましてや総代理店でもないのにパーツの供給義務はないと考えられても何の不思議もありません。
実は最近、いろいろな出来事を通してその取締役の気持ちがよくわかるようになりました。


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