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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第130話 ミツワのころの話ー2
11899008の若かりし頃

11899008という数字を見ておっと、と思われる方はかなりの方です。あっ、Rだ、って思っただけではかなりの方とはいえません。これは当時ミツワ自動車が正規輸入したアイボリーの911Rです。多くの雑誌、本に取り上げられていますからポルシェ好きなら一度は目にしたことがあるはずです。このRがC/Gの広告に初めて登場したのが1968年4月号です。値段は出ていませんが非売品ではないと書いてあります。その後このクルマは、業界でいうところの『秋田のS先生』が買われます。そして1990年代の終り頃までそこで過します。その間、実に沢山の雑誌、本に取り上げられ日本に生息する911Rとして、私も含めて自分の所有では無いのに日本にあることを誇らしく思ってきた日本のポルシェ好きの宝のようなクルマです。
911Rは伝説のクルマですが、その元となった希少性とはプロトタイプ4台正規生産20台の合わせて24台のみであったことです。プロトタイプの4台は67年ボディー、正規生産20台が68年ボディーで、11899001R〜11899020Rまでです。その8番目の11899008Rが『秋田のS先生』のクルマです。このクルマが秋田に納まってからは前述の通り数多くの書物で取り上げられていますから今日は触れません。
S先生、実はこの911Rを買われてすぐに秋田に納車してもらっていません。理由はわかりませんが、しばらくの間ミツワ自動車に預ってもらっていました。当時ミツワ自動車には環七と目黒通りの交差する柿の木坂に駐車場倉庫がありました。ここには引き取ってきたクルマを一時的に保管していました。そこに911Rも保管されていました。当時営業の方が時々行って、倉庫を開けて保管されていたクルマのエンジンをかけていたそうです。その時、911Rは凄い音がするので、近所から文句がくるのではないかとかけても直ぐに止めていたといいます。その営業の方があれではエンジンをかける意味なかったなあと言っていました。この話を聞いた時、あのストレートマフラーが思い浮かびました。
11899008Rの若かりし頃のことです。間もなく生産された1967年秋から40年になります。


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