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第132話 ポルシェな人々 その54
S代表の悪い評判
S代表
「Nさんいらっしゃいませ、しばらくです」
Nさん
「ご無沙汰しています」
S代表
「お元気ですか?」
Nさん
「まあまあです。このところM-HOUSEの在庫車輌動きがありますね」
S代表
「まあ、お預かりのクルマも多いですから」
Nさん
「ところでM-HOUSEでクルマ買った人じゃないけど、ひとづてに聞いたんだけどSさんボロクソにいわれているね」
S代表
「ハハハハ、またですか」
Nさん
「そんな呑気なこといってていいの?話はかなり具体的でしたよ」
S代表
「そうですか」
Nさん
「何でも、自分のクルマをボロクソに言われたとか」
S代表
「その方うちにクルマ乗って来たっていってました?」
Nさん
「いや部品を買いに来た時に言われたって言ってたらしいよ」
S代表
「まあ一般的なことをそのとき言ったんだと思いますけど」
Nさん
「どういうこと?」
S代表
「譲ってほしいと言われる部品からそのクルマの状態が推測出来るんですよ」
Nさん
「そうなの?」
S代表
「まあ申し訳ないですけど見えてきます。だから高価なレアの部品を含めて是非欲しいと言われても、そのクルマ本来の状態と整合性がとれなきゃあまり意味無いとボクは考えるんですけどね」
Nさん
「まあ確かにそうだろうけど、それはオーナーが考えることじゃないの」
S代表
「確かにそうですが、自分のクルマを客観的に見る力量のある方はあまりおられないので」
Nさん
「でもそれって失礼じゃない?」
S代表
「確かにそうですね。ある老舗のポルシェショップの社長さんから客はみんな自分のクルマはいいクルマだと思っているんだから絶対ダメなクルマだって言ってはダメだそんなこと言ったら何も売れないぞって、言われたことがあります。そう皆さんご自分のクルマはいいと思っておられるからあれも欲しいこれも欲しい言われるんでしょうけど、お買いになりたいという部品がかなり高価ですから事前に申し上げた方がいいかと思って、そのことに触れちゃうんですよね」
Nさん
「要するにクルマの状態がネコに小判状態じゃお金の無駄使いだということですか」
S代表
「いや、そんなつもりはありませんが、結局いつも金額の話になりますから。金額はいい!、部品を譲っていただければと言っていただけるのなら何も申し上げないのですが」
Nさん
「そうだその人金額のことも言っていたらしいよ。部品が出来たと言う時に、何だかSさんが初めに言った金額の6割増しくらいなことを言われたって」
S代表
「その方誰だかわかりました。それは外注さんに出した部品です。私もしばらく、数年出していなかったので金額があやふやだったんです。それでもだいたいいくらかと聞かれたのである金額を申し上げたのです。もちろんやってみなくてはわかりません、最終的にはと申し上げたのですが」
Nさん
「そうそれです」
S代表
「結果そんな金額の違いが出てしまいました。初めの段階で何とも言えないけど言わなくてはならないことがままあって、ほんと困ります。その方にはうちも泣いて御了解をいただいたつもりだったんですが」
Nさん
「まあはじめに聞いた金額はどうしても残るよね」
S代表
「そういうわけで、難しいです。よかれと思ってやって差し上げて、結果あまり良い印象を持っていただけない場合があって。お他所では出来ないことをしているのでほとんどのお客さまにはご理解いただいていると思っておりますが」
Nさん
「どんな人がいるかわからないから気をつけた方がいいですよ。よく犬好きのひとが犬の好きな人に悪い人はいないなんていいうけどそんことはないわけですから」
S代表
「ありがとうございます。気をつけます」
Nさん
「ところで秋になったら走りに行かない?」
S代表
「そうですね、ちょっと行ますか」
Nさん
「連絡待ってます。また来ます」
S代表
「ありがとうございました」
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