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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第140話 オリジナル地獄
M−HOUSEにお見えになるお客様の中で、私が見てもオリジナル度は高いクルマだなというナローや356に乗ってこられる方がほんの少数ですがいらっしゃいます。それらは長いこと眠っていたとかワンオーナー、もしくはツーオーナーだったというクルマです。しかしよく見てみると、オリジナル塗装だといっても残っているのはほんの一部でフェンダー、ボンネット、ドアの色がみんな違っていてツギハギだらけのように見えて、表面はスリガラスのように曇っていたり、内装はオリジナルといえばそうだが、残念ながらシートのビニールが破けダッシュが割れていたりします。そんなクルマたちは帰ったあとガレージの床にオイル漏れのあとが四つも五つもあります。三十分も駐車していなかったのにです。
中にはどこかぶつかってへこんだままになっているクルマも見ました。「どうして直さないのですか」と聞くと、「直したいが直すとそこだけきれいになってしまうからそのままにしている」といっていた方もいます。
どうしてそういう考えになってしまったのか聞いてみると、同じナローに乗っている友達や行きつけのショップの人から、
「たとえ一部でもオリジナル塗装は貴重だよ」
「シートのビニールを張替えるとオリジナルじゃなくなっちゃうよ」
「手を入れるとオリジナルじゃなくなって価値が下がるからやめたほうがいいよ」
などといわれて、手をつけられなくなってしまったというのです。
まさに、オリジナル地獄にはまってしまっているという状態です。
確かにいじってしまって、オリジナルから遠ざかってしまったクルマは数知れずですが、普通、ぶつけてしまったクルマをそのままにして置くでしょうか。大切にしているクルマであったら直すはずです。それは三十年たっても同じはずです。
要は直してもオリジナルであればいいわけです。当時の純正パーツを使って、同じビニールを使って、新車時通りに直せばいいわけです。またそう希望して、ショップや業者さんに頼んで直せばいいことです。
確かに手を入れていないオリジナルは大事ですが、色がまだらのままや内装が破れたまま、オイル漏れのために短時間でガレージにシミが出来るようでは正常とはいえません。
正常でオリジナルなナローにしてあげてください。でないと楽しくありませんから。
「そんな簡単にいかないから困っているんだ」という方、M−HOUSEにお越し下さい。
『 オリジナル地獄』を『オリジナル天国』にかえて差し上げます。


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