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第15話 ポルシェな人々 その10
ポルシェにまつわる様々な人々の、本人にとっては誠に真剣な、はたから見ていると実に楽しい愉快な生態をシリーズでお話ししましょう。
一生分いや三生分のパーツを持つ男
「もしもし、○○ですが、Sさんからこの間譲っていただいたパーツの事ですが、もう1セットあるとおっしゃっていましたよね」
「はい、まだありますが・・・」
「それも譲っていただきたいのですが」
「この間お持ちになられたのも、確か予備にでしたよね」
「そうです。でも、あれはもう製造廃止ですし、買っておかないと何か心配でお譲り頂きたいんです」
「大丈夫ですよ、もしも売って欲しいと言われたらまず、○○さんに連絡しますから。それに、あれは決して安くないですし」
「そうですか、それでは必ずそういう時は連絡ください」
いつものパターンと言えばそうなのですが、この電話を頂いたその日の夕方
「もしもし、○○ですが、やっぱり不安なのであれ譲ってください。」
「○○さん・・・、良くもう一生分必要なものを持っているとか、そろえてしまった、買ってしまったとか言うでしょう。今まさにその状態ですよ。」
「・・・・・・・・・・」
「たぶん、使うこと無いと思いますよ。一生分と言うか、もう三生分持っていると思いますよ○○さんは」
「それでもいいんです、眺めているだけで落ち着くので、是非譲ってください」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」私
「今度の休みに伺いますのでよろしくお願いします」
「・・・わかりました」
○○さんのようにいつもの事と、うちがわかっている方はまだいい方だと最近は考えています。雑誌の広告を見て来たというお客さまにどうしてもと言われて、最後の1枚だけ残っていたパ−ツをお譲りした時、これで全部で5枚になりましたと言われた時はただただ唖然としました。
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