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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第182話 グロッサーメルセデスのヘッドライト
 現在の御料車はセンチュリーを基本としたトヨタ製ですが、その前は初めての国産御料車といわれた日産プリンスロイヤルでした。その日産プリンスロイヤルの供用が軌道に乗った頃、それ以前に使われていた、戦前に購入されたメルセデスベンツのグロッサーメルセデスが完全退役になりました。それにともない密かにグロッサーメルセデスが解体されたという情報を知った当時のCGが、歴史的なクルマを解体処分するとは・・・・と非難の記事を載せていたのを覚えています。しかしその後、すべてのクルマが解体されたわけではなく、メルセデスのミュージアムに寄贈されたり、昭和天皇記念館に展示されていることが知られています。メルセデスベンツのミュージアムのクルマについては、このエッセイの第1話の後半でほんの少しですが触れました。
 前置きが長くなりましたが、今日のお話はそんなCGの記事が出た少し後の頃のことです。友達の板金塗装屋さんに遊びに行っていたとき、メルセデスの確かSSを塗装していました。SSKではなかったと記憶しています。真っ白いボディーはCGの65年頃のメルセデス特集で見た写真(それは白黒でしたが)そのものでした。思わず凄いものを見たと興奮してしまいました。当時、今でもまあメルセデスのSSやSSK、SSKLを間近で見る機会はそうありませんから、自動車好きの少年の興奮はわかっていただけると思います。
 しばらく担当の職人さんに、あれこれと質問をしてたくさんいろいろなことを教えていただきました。その時、そのクルマに取り付けるというヘッドライトとその周辺の部品が箱に入って置かれていました。それはいかにも大きなライトで1930年代のクルマのものという感じでした。実はもうだいぶ前のことで、記憶が怪しいのですが、その時そのライトはグロッサーメルセデスのものだと聞きました。こういった部品はなかなか手に入らないんだよといわれた記憶があります。今となっては確かめようもありませんが、CGに前記の記事が出た時期、グロッサーメルセデスの部品といわれたこと、その時の話の成り行きから、私は今でもあのヘッドライトが昭和天皇の御料車のものだったと思っています。
 先週の皇居見学、帰りがけの車庫、車の管理は車馬課(クルマと馬は同じ担当)という連想から思い出したことです。まだ、現存すると思われる、皇室の1950、1960年代のロールスロイスの話はまたいずれ機会があったらします。



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