ESSAY TOP

ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第188話 古い思い出その1
 先日71Sを前に、クルマを見にきた方とリアエンジンフードの締め方の実演をしていてひとしきりアルミの話になりました。
 そこで思い出したのは、子供のころに聞いたアルミボディーのクルマは買ってはダメだよという話でした。まだ私が中学生か高校に上がった頃、友達の鈑金修理工場でのことです。そこにはアルミボディーのフェラーリデイトナが修理されていました。新車から3年くらいのクルマでぶつかった訳でも無いのに左右のドアのペイントが剥かれていました。このクルマどうしたんですかと聞くと、ドアを修理しているんだよ腐っちゃったからといわれました。近づいて良く見せてもらうと、ドアの下の方が腐ってぼろぼろになっていました。どうしてアルミが腐るのですかと質問すると、懇切丁寧に教えてくれました。
 ドアは外側と内側の部材を袋状(箱状)にしてあります。普通、鉄の場合は熔接してドアにしてありますが、デイトナは外皮と内側の部材の端が折り曲げられているだけでした。当時の聞いた記憶ではアルミは熔接出来ないので、折り曲げて作るしかないんだというものでした。しかもただ折り曲げただけではクルマの振動で擦れて音が出るので、アルミとアルミの間にグラスウール(そう聞いたと思います)を挟んで折り曲げるんだと、だからそこに雨が溜って腐っちゃうんだと。かいつまんでいうとそんな感じです。
 子供ながらに、総アルミボディーと聞くと軽くて速そうでいかにもフェラリっぽくて格好いいと思っていましたが、こんなになっちゃうんだとショックを受けると同時に、スカリエッティーの仕事ってこんなんだと少々がっかりしたのを覚えています。
 その時思ったのは買えもしない癖に、買うならやっぱりポルシェだな911Sだなでした。まったく子供でした。








GO TO TOP ▲