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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第195話 トヨタの大量リコール
 毎日テレビや新聞にトヨタ車の大量リコールのことが出ています。2月3日にはプリウスのブレーキ不調まで出てきました。トヨタの責任はどのくらいあるのでしょうか。
 トヨタがGMを抜いて世界一になるとメディアで盛んに報道されるようになったのは確か2008年の中頃のことだったと記憶しています。結果2008年はかろうじてGMが首位を保ったものの2009年は間違いなく世界一になるだろうと昨年の初めに報道されていたのは記憶に新しいところです。
 そのときいよいよ来たなトヨタの時代がと思うと同時に、二、三年のうちにトヨタが一位でいられなくなるようなことが起こるのではないかと直感しました。それは、スポーツでいえば日本がダントツに強かった競技で、ルールが変更されてそれ以来外国勢の後塵を拝するようになったとか、新しい会計制度の採用や変更などが突然行われて日本企業の強みが無くなってしまう。などといったことが起こってトヨタの天下も長くは続かないのではないかと。
 今回私の直感よりあまりに早く、予想していた事態とは全く異なる自動車製造業の本筋の部品の欠陥でのリコールで上記の心配が顕在化しました。アメリカの報道を見ていると完全なトヨタたたきとしか思えない状態です。その主な理由としてトヨタのリコール手続き、回収方法に関する後手後手の対応が批判されています。アメリカ政府は制裁金を課すといっています。ただ私が思うに、トヨタはそんなはずはない(部品がダメなはずがない)とずっと考えていたので対策が後手にまわったのではないかと。
 以前、トヨタに入社して20年以上毎日毎日来る日も来る日もデフの耐久試験だけをやっていて、とうとう精神的に耐えられなくなって、やっとのことで配置転換をしてもらったという人の話を聞きました。
 これはどういうことかというと、トヨタはすべての部品の耐用限界寿命をあらかじめ知っているということです。つまり偶然部品が壊れるのではなく、平均的ユーザーの走行距離から部品の品質を逆算して決定して、過剰にならないように高コストにならないように計算、計画しているということです。
 今回のアクセル部分もたまたま「CTS」という会社に手ごろな部品があってそれを採用したなどということは無く、トヨタは自分のところの仕様書に基づいた部品を発注しているはずです。だからにわかには部品の欠陥とは考えられなかったのではないでしょうか。
 もちろんトヨタに問題が無かったわけではないと思います。アクセルパーツに関しては、乾いたタオルを絞るというトヨタスタイルが外国では裏目に出たということだと思います。またプリウスのブレーキに関してはチェックをしきれなかった、つまり結果的に見切り発売になってしまったということだと思います。
 しばらくトヨタには厳しい時期が続くと思われますが、豊富な現預金に裏打ちされた経営は何の問題もないはずです。それより、新社長がいっていた「車の楽しさを感じていただける、味のある車を投入する」という言葉、クルマの白物家電化を進めてきた本家トヨタが今後どのようなクルマを出してくるのか楽しみです。



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