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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第201話 インディゴの夜
 フジテレビ系列の昼の帯ドラマ枠、真珠夫人などで有名な午後一時半からの時間枠で森口瑤子主演の「インディゴの夜」(Indigo=藍=愛?)が放送されています。ちょっと面白かったので毎日録画して夜見ています。渋谷の一風かわったホストクラブが舞台なのですが、そのなかに男性と偽って働いている性同一性障害の女性の話がありました。ドラマはまだ放送しているので見ていただくとして、見ていて気がついたことがあります。
 性同一性障害ほど深刻ではないが、自分が思っていることと他人に見えていることには大きなギャップがある、そしてその事実に本人が気づいていないということが実は身近なところにたくさんあるのではないかと。
 例えば、周りから見れば大男なのに本人は自分がそれほど大きな男だと思っていない。服を買うときはつい小さなサイズを手に取ってしまい、店員に小さくないですかと指摘されるか買ってしまって着れずにそのままになっていることが多いとか。見た目は古風な日本女性の顔立ちなのに服飾の好みがゴージャスで、雰囲気がアンバランスでいつも違和感が漂っているとかなどです。
 小さくてセンスの良いものが好きな自分=自分はそれほど大きくはない。ゴージャスでセンスの良いものばかり選んでいる自分=自分の感性と見た目(外見)は一致している。と何の違和感もなくずっとそう思っているということでしょうか。皆さん思い当たるところはないですか。
 実はクルマにもそれがあります。スポーツカー好きはレーシーなものが好きです。だから、クルマを買うときはノーマルよりSタイプ、買ってからはストックの状態よりレーシングパーツ等を組込んでいわゆるチューンしたクルマにしたがります。
 ポルシェでいえば、ノーマルよりカレラS、カレラSよりGT3、GT3よりGT3RS、GT3RSよりレーシングカーということです。
 現行生産車はかなりチューンの進んだクルマでも、余程のことがない限り運転できないとうことはないと思いますが、硬派になればなるほど乗りにくくなります。だいぶ古い話ですが、知り合いが964のRSを買ったのですがあまりの乗り心地の悪さとハンドルの重さ(ノーマルはパワステ)、エアコンのない暑さからすぐに手放してしまいました。もちろん買う前からそれらのことはわかっていました。むしろ、ポルシェはこうじゃなくてはといっていたくらいです。スポーツカー好き、ポルシェ好きの彼も自分の真の姿を知らなかったということです。
 911に乗っていても全くといっていいくらいアクセルを踏まない方がいます。911を買ってはじめて、自動車としては同じでもベンツ等の乗用車とは全く異質のものだということに気づいて後悔する方もいます。一度徹底的に自分を冷徹に見つめて、自分の真の姿、どんなクルマが本当に好きなのか、自分に合っているのか、今までの自分を否定するところからじっくり考えて見るのもいいかもしれません。


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