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第206話 紙芝居『しあわせの王子』 その5
その後の王子
M−HOUSEに来てからのしあわせの王子は、ほかのポルシェと全く同じ扱いでした。分け隔てが全くありませんでした。それがとてもうれしかったのです。いま、しあわせの王子は板金塗装屋さんにいます。まだまだ仕上がって戻ってくるまでは時間がかかりそうですが、確実に生まれたときの姿に近づいています。何年かして、また走る姿を夢見て。
おしまい
このお話は一台の1973年型のポルシェ911Sの生い立ちを再構成したものです。
不幸な王子なのに、どうして、しあわせの王子と呼ばれていたのか?。それは、オスカーワイルド作の「幸福な王子」の物語に由来します。自らの一部を人に分け与えていくというところがまるで「幸福な王子」と同じだと思う人がそう呼び始めたからです。ただ、この主人公のしあわせの王子は最後にスクラップになることなく、救われることになったところがうれしいところです。また、いずれ新たな王子の冒険をご紹介できればと思っています。
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