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第229話 RSのひとりごとー12
再びMーHOUSE−1
13人目のオーナーがMーHOUSEに行こうと思っていたとき、ナローを持っている友人から電話がありました。
彼はえらく怒っていました。かいつまんでいうと、MーHOUSEにクルマを買い取ってもらおうと連絡を取ったところ、クルマを見せてほしいということで、ナローに乗って行った時のことを、憤まんやるかたないといった感じでまくしたてたのでした。
その友人によると、クルマを見せたところパッと見て、二、三ケ所さわってお終い。あとは詳しく見ようともしなかったというのです。それで、買い取れないといわれたというのです。その友人は、頭にきてタダなら引きとってくれるのかと聞いたそうですが、どうしても引き取れないですといわれたというのです。そんなにオレのクルマはダメなのか、そんなはずないとその友人は続けました。実は、MーHOUSEに行く前にあるポルシェショップで200諭吉でならいいですよといわれていたのだそうです。それを引き取れないといわれてタダでの発言になったといいました。
13人目のオーナーは、その友人にいいました。どうしてMーHOUSEに行ったの?、ナロー専門でクルマの金額が高いことで評判だから、200諭吉のショップより高く買ってくれると思ったから行ったんでしょう?。その友人は、確かにその通りであったといいました。13人目のオーナーは、続けました。言いにくいけどMーHOUSEにとっては、あのクルマでは200諭吉もタダも同じなんだよ。きちんと修理、復元をするのにかかる部品と外注を含めた工賃を考えると費用があまりにかかりすぎて、それはもう現実的でない金額になってしまうからなんだよ。だからあのクルマを修理、復元するのはオーナー自らする以外現実的ではないから、引き取れないんだよ。13人目のオーナーは、カーマガジンのナローを思い浮かべていました。
その友人は続けました。そんなところまで本当に直しているのかね、あり得ないだろう?。だってクルマ屋だぜ。そんなことをしていたら、一体どのくらいの時間がかかるんだ、一年に何台納められるんだ。
M−HOUSEはオープンから10年、現在抱えているバックオーダーを除いて、納車できたクルマが10台程度だということを、13人目のオーナーもその友人も知りませんでした。途方もない時間をつぎ込む、それがM−HOUSEのやり方であり、それがあの奇跡のという形容詞の付くナローになるのに必要だということを。
・・・・・来週に続く。
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