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第231話 2/2 RSのひとりごとー14
再びMーHOUSE−2
はじめてM−HOUSEを訪れた方が帰ったあと、もうひとりのお客様もよろしくといって帰えりました。
やっと13人目のオーナーとS代表があいさつをして話し始めました。S代表は4年前に見た私を覚えているのか、チラッとしか見ませんでした。一通り13人目のオーナーの話を聞いてから、S代表は一言でいえばかなり大変ですといいました。13人目のオーナーは、それは時間がかかるという意味でしょうか、それともお金がかかるという意味でしょうかと尋ねました。S代表は両方ですといいました。さらに、どこがとはいいませんでしたが、実際にはじめて見ないと何ともいえませんがかなり大変なことがあります。技術的にも部品的にも今から頭が痛いと思っていますと話しました。やはりS代表は私のことを覚えていました。13人目のオーナーは少し不安になりました。
しかし訪問する前からの予定通り、13人目のオーナーはこのまま預けていきたいといいました。そう出来るように、おろせる荷物はガレージに残しその準備はしてきてありました。
S代表は困った顔をしました。お預かりしたいのですが、つい先日全く同じご依頼でRSを一台お預かりしたばかりなのです。そのRSもこのRSも全体の板金、もちろんきれいなところも含めてですよ、それに全塗装をしなくてはなりません。いま、うちの板金塗装屋さんに入らないのです。たくさん預けていて。M−HOUSEさんのクルマは他所のところのと違って手間がうんとかかるので一、二台お返ししてからでないと預かれないといわれいるのです。幸いこのおクルマは、車検が一年以上あります。半年からもう少しお待ちいただけないでしょうか。こちらからご連絡いたします。といったのです。
13人目のオーナーは意を決してきたので、気が抜けた感じがしました。時間はいいので預かるだけ預かっていただけないでしょうかと粘りました。そうしないと、意を決した覚悟が半年以上先だと、何かゆらいでしまうような気がしたのです。
S代表はそのことも織り込み済みのようでした。こちらの都合でまことに申し訳ないのですが、もし、半年たってお気持ちに変化があったらどうぞご遠慮なくご依頼お止めいただいてかまいません。それより、まだこのRS買ったばかりですからしばらく乗ってみてくださいと。
13人目のオーナーは、ポルシェに自分の決心を試されているのだと感じました。それは、私がそう思っていたからです。ずっと一生持っている、絶対手放さない、死ぬまで手元に置いておくといったオーナーたちが、すぐに心変わりするのをいやというほど見てきました。そのたびに、悲しい思いをしたからです。
意外な展開になりましたが、私たちはS代表に見送られて、M−HOUSEをあとにしました。
・・・・・来週に続く。
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