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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第232話 RSのひとりごとー15
最終回

 あれから二ヶ月がたちました。どうやら13人目のオーナーの決心は揺らいでいないようでした。少なくても今日までは。13人目のオーナーとあの後またM−HOUSEに行って、S代表と話をしました。前回あった納車直前のナローがまだありました。私から見ても、どこからどこをどう見てももう納車されてもいいんじゃないかと思いましたが、まだまだやらなければならないところが何箇所もあるといわれました。私も同じにしてもらえるのならうれしいと思いました。ただ、これでは時間とお金がいくらでもかかってしまうとも思いました。
 そのときS代表はこんなことを考えていました。このRSをはじめて見たのは4年前。いろいろなオーナーのもとで、いろいろなところで、いろいろなことをされて、とうとうサンルーフまで埋められて、生まれたときの姿からどんどん遠ざかっていくこのRSを見て、出来ることなら元の姿に戻してあげたい、ただ、それには恐ろしく大勢の諭吉さんが必要になる。それを決断できるオーナーはいるのだろうか、たぶん難しいだろうなあと絶望的になっていました。そのRSが、今自分の目の前にいる、もし救えることになったら誰が見てもほしくなる、絶対に手放したくないと思うRSにしてあげようと考えていました。やっとここまでたどり着いたRSを、時間はかかったけどもよくがんばったねと、出来ることなら真っ先にとりかかってあげたいと思っていました。


筆者注:このRSのひとりごとのモデルはあのRSですか、このRSですかと何人かの方からお問い合わせを頂ました。正確にはモデルは一台のRSではありません。したがって、ひとりごとそのもののモデルは存在しません。




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