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第256話 1949年型
近所のコンビニの駐車場で古いアメ車を見ました。
何年型かなあと考えていて、50年はいっていないなと思いつつ、正確な年式はわかりませんでした。
クルマに見入っていたら、ちょうどオーナーが店から出てきてお話しました。50年までいっていないと思いますが、何年型ですかと質問すると49年ですといわれました。スレートグレーのなかなか良い状態のクルマでした。
オーナーと詳しく話してみると、何と新車からそのお宅にあって、おじい様が乗っておられた。一度抹消したが30年くらい前に全塗装と再登録をしたということでした。サイドバルブのインラインシックスはいかにも丈夫そうでした。伺った話によると、軍用のトラックにもショートストロークのものが使われていたので機械パーツは豊富にあるということでした。でっかい6Vのバッテリーやバイアスのこんなサイズあるの?というタイヤもネット通販で簡単に手に入るということでした。
オリジナルの塗装が残っているというトランクを見ました。錆のないきれいな状態で、フードの裏側とサイドの一部にオリジナル塗装がありました。現在のボディーより少し濃い色でした。
室内を見るとドアパネルとシート座面は張り替えられていましたが、ヘッドライナーと前後のシートバックは元ものということでした。コラムシフトの各ギアの守備速度の書かれたパネルもきちんと残っていました。多分ノンシンクロだと思いましたが聞きそびれました。
ひと通り拝見して、60年以上も経過して(なおかつ湿気の多い日本にあって)、この状態を保っていることはすごいことだと感じました。昭和20年代前半の第二次世界大戦終了後の混乱した時代に、新車でアメ車を購入できた、乗れたお宅とはどんなお家だったんだろと聞きたくもありましたが、あまり立ち入ってお聞きするのもはばかられそのままお見送りました。
軽々と一発でかかったエンジンとギア鳴りもせずゴンと1速にシフトされた古いアメ車は、ゆっくりと通りに出ていきました。
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