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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第273話 ポルシェ レストアのキモー1
911は既製服

 オリジナルに戻したいオリジナルを保ったまま大切にしたい。そのためにポルシェのレストア、大修理を考えている方にその勘所というか押さえるべきポイント、M−HOUSEが実践している『キモ』をお話しながら、実際の行動作業に役立ててもらおうというシリーズです。
 まず、確認しておかなければならないことがあります。
 ポルシェは、洋服でいえば既製服だということです。メーカーの販売したシャシー状態のクルマに顧客が思い思いのボディーをコーチビルダーに架装してもらった1930年代のヴィンテージカーがオートクチュールの注文服なら、メーカーが仕様を決めて一定期間量産されたクルマはプレタポルテです。
 ポルシェは、トヨタやGMに比べると生産台数が1/100程度の規模で、ナローのころのドイツ車が現代の目から見ると実質的な受注生産車(注1)であったことを考えても、既製服だということを押さえておかなければなりません。
 既製服は、デザインや全体の形状に始まり、ポケットの位置や形、ボタンの大きさ種類や材質色まで基本的に同じです。それらの一部でも変更交換すると、オリジナルと異なったものという印象を人に与えます。そのことがクルマでも重要なことです。例えばナローのくたびれたサンバイザーを高年式のそれに交換すると、全く違った印象違和感を覚えます。
 オリジナルを維持するということは実に大変なことですが、ポルシェは既製服だといことうことを認識することが始まりだと考えます。

注1:ベンツなどの古いオーナーに聞くと、このころはメーカーから生産の2ヶ月位前に注文表通りに生産してよいか確認の問い合わせがあっといいます。ポルシェの69年を例にとると、T、E、Sの基本仕様はあってもウィンドーガラスの色はどうするとか細かくオプションの確認がされました。当時三和自動車で販売されていたいわゆるディーラー車は、三和自動車がオプション等を選択したクルマです。つまり、三和仕様911T、E、Sというのがより正しい理解です。




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