ESSAY TOP  

ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第28話 ポルシェな人々 その19
ポルシェにまつわる様々な人々の、本人にとっては誠に真剣な、はたから見ていると実に楽しい愉快な生態をシリーズでお話ししましょう。

ポルシェの助手席で喜々とした女-その1

インプレッサWRXに乗っているNさんは、911が大好きなSさんのお母さまのお知り合いです。30代半ばの活発な女性で、クルマの運転が大大大好きな方です。そして、Sさんのお母さまを自分のWRXに乗せていろいろなところに連れていってくれる、Sさんにとっては大変有難い存在です。そこで、Sさんはいつもお世話になっているNさんに御礼をかねて、仲間とのワインディングロードヘのツーリングに招待しました。

当日は3人の予定でしたが、ひとり欠席で、3.2Carreraと73Tの2台でかけることになりました。ゆっくり行こうと申し合わせたにも関わらず、案の定というかお約束というか、3.2Carreraの人はガンガンと高速を飛ばしていきました。Sさんも前のクルマにブロックされて少し遅れる以外ピッタリついていきました。待ち合わせのインターの出口ではほぼ同時でした。
このインターから数km先がお目当てのワインディングロードのはじまりです。ここでも最初の約束も何のその二人ともガンガンいきます。
73Tの中はどうなっていたかというと・・・。ギアは2速と3速をいったり来たり、エンジン4500rpm以下には落ちないし、2速ではほとんどレッドゾーンつまり5900か6000から6200rpmの間にあるまま。ブレーキはというと、コーナー手前で一瞬ながら容赦のないフルブレーキングといった状態でした。そんな状態が30分弱くらい続いたでしょうか、ドライバーは楽しいの一語ですが、パッセンジャーは普通なら気持ち悪くなってしまう最悪の環境といってていい状態でした。しかも、Nさんはどんな運転をするのか、足と手の動きをみるのだといって下を向いたままでした。
この間中Nさんは時々ドライバーの方を見て、
「ワァー、こんなふうにするんだ」、「ここでブレーキ踏むんだ、それも一瞬しか踏まないんだ」とか「こんな高回転を保ったままなんだ」とか「ワァー最高!」などと楽しそうに絶叫のしっ放しでした。

その後ワインディングロードのお終いから少し行ったファミりーレストランで一息入れようとクルマを止めました。しかし、Nさんの興奮は収まらず、「帰りもガンガンいきましょう!!!」と元気一杯でありました。