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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第280話 一年ありがとうございました
今年はこれで最後です

 今年も一年間お付き合いいただきありがとうございました。なるべく週一の公開を目指してきましたが、何度かお休みをしてしまい申し訳ありませんでした。

 2011年は災害の一年でした。東日本大震災、それに伴う巨大津波、台風12号をはじめとする記録的大雨洪水、局地的竜巻、その他海外でも中国、タイでの洪水等々実に厳しい年でした。その結果、あまりにたくさんの人命が奪われました。実に心痛むことです。
 全く別の次元ですが、災害の結果大量のクルマも全損となりました。M−HOUSEのように40年以上もたったクルマとかかわっている、それも普通存在しないような新車時のような状態のクルマ、生きた化石といわれるシーラカンスのようなものばかりを見ているものには、クルマを擬人化するのはどうかと思いながらもクルマたちの生涯というものを考えてしまいます。
 東日本大震災やその後襲った津波で全損となって生涯を終えたクルマたちも、エコカー減税の実施からかまだ車齢の若いものが多かったように思います。さらに、タイの工場敷地内で水没したホンダのクルマたちは、まだ公道を一度も走らないまま全損となりました。台風や記録的大雨で水没したクルマ、強風で倒れた樹木の下敷きになったクルマ、竜巻で巻き上げられたクルマ、そのどれもが一瞬のうちに全損となりました。
 クルマは経済的合理性でその存廃が判断されます。クルマはまだまだ使用できたとしても、残存価値と維持修理代との相関関係、減価償却の度合い、この間までのエコカー減税のようにまだまだ十二分に使用可能な状態のクルマの完全抹消スクラップの義務化などです。
 高級車なるが故、愛する人がたくさんいるが故、残存率がきわめて高いポルシェは幸せなクルマといえます。経済的合理性の範囲外にあるクルマが多いのです。
 一般の方は、よく事故車を見て、これ全損ですねといいます。確かに経済的合理性から見れば正しくても、経済的合理性を度外視すればまず直らないクルマはないのです。だから、全損廃車がペナルティーとなるタクシー会社は新車を購入した方が安くても事故車を直すことがあります。まあこれも経済的合理性の一つではありますが。
 先日中国自動車道で10台以上のフェラリとランボ、ベンツの多重衝突事故がありました。ニュース映像を見る限り、皆全損の判断だと思います。ただ、買った方が安いというのを考えなければ皆直ると思います。グッチャリ曲がっているクルマは、新たに買う金額の何倍もかかると思いますが。
 不謹慎を承知で申し上げると、クルマの生涯も人のようです。もし、皆さんの愛車が経済的合理性を判断しなければならない時が来たら、出来たらそれを度外視していただきたいと願います。

来年もよろしくお願いいたします。
M-HOUSE S代表




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