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第29話 ポルシェな人々 その20
ポルシェにまつわる様々な人々の、本人にとっては誠に真剣な、はたから見ていると実に楽しい愉快な生態をシリーズでお話ししましょう。
ポルシェ武勇伝-その1 環8を3時間通行止めにした男
M-HOUSEのESSAYを何時も読んでいただいているクルマ好きの皆さま、ご自分のまわりご自分も含めてクルマに関する自慢話、ウソのような話、作り話としか思えない話を聞いたことがあると思います。今日はそんな中からポルシェ武勇伝編その1をお話ししましょう。
もうだいぶ前のことなので時効といって良いと思いますが、ある秋も深まった土曜の午後○○さん(としておきましょう)はポルシェショップで修理の終わった自分のクルマを受け取り環8に乗り出していきました。それは見ていた人の話によれば、出だしから全開だったといいます。
東京周辺以外の方のために簡単に説明しておきますと、環8は東京の環状道路のひとつで良く整備(大きな道路との交差はアンダーパスかオーバーパスが整備されている)されていますが混むことで有名です。土曜のその夕方はかなり流れの良い時だったといいますが、それにしても全開で(それもポルシェで)行ける道路でも状況でもないことは容易に想像ができます。
それを見送った彼の仲間達はそのポルシェショップでおしゃべりをしていました。しばらくして、ちょっとした変化に気がつきました。あんなに良く流れていた目の前の道路が渋滞し始めたのです。皆どうしたんだ、何が原因なのかなどと言い合い、帰るのに弱ったな、どうやって帰ろうかと話していました。
そんな会話からさかのぼること25分弱、○○さんがお店を出て1分たったかたたないかのころ、そこから約2Km先で大変なことが起っていました。
○○さん談
「クルマを受け取って、前の環8も流れていたのでちょっと調子を確認してみようと踏んでみたんです。そうしたら、たまたま前がガラガラで何にもいなかったのでちょっと行けるなと思って目一杯加速してみたんです。メーターで200Km/hを少し超えたの覚えているんだけど、ちょうどその時アンダーパスの下がり口で前が渋滞していたんですよ。その時はじめて見えたんです。あっと思った時、まだブレーキ踏めていたかどうかというところで突っ込んじゃったですよ。たぶん200出てたと思うんだよね。ぶつかったのがツーボックスのクルマで車種は何だったか覚えてないんですが後部座席は完全に潰れていて、前側もその前のクルマにぶつかって、人のいた前席部分だけかろうじて残ったっていう感じだったね。リアシートに人が乗っていたら確実に死んでいたっていわれましたね。結局4、5台の玉突きだったんだけど、大きな怪我をした人はいなくて、むち打ちになった人はいたけど、不幸中の幸いでしたね。ボクは、もちろんボクのクルマは全損にしたんだけど、ボク自身は何の怪我もしなかったですね。いやーその時思ったね、ポルシェは強いって、ボクがいうんだから間違いないよ。そう、それで、結局3時間くらいかなあ環8通行止めになったの。本当にあの時は皆さんにご迷惑をおかけしました。」
これはウソのようなホントウ(?)の話です。
○○さんの話で確かだと思えるのは、ポルシェは強いってこと、ポルシェを運転していて亡くなったという話は私も聞いたことがありません。ただ念のためにいうと、環8は通行止めになったのではなくて、正確に言うと○○さんあなたが3時間通行止めにしたのです。
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