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第306話 このところのナロー事情
実を言うとよくわからないのですが、お問い合わせいただく方からナローをさがし始めて数年経つのですがこれはというクルマに巡り会えません、という言葉を必ずと言っていいほど聞きます。
そこでまず思うのは、まあそうなんだろうなあということです。私が良いクルマはほとんどありませんと言い始めた十数年前から現在までの間に、これはと思う良いクルマはほとんど無かったわけですから。そういった状況の中で購入できた一台が第300話と第301話で取り上げた73Tですが、これはこの十数年に現れたごく少ない内の一台、稀有な存在だったといえます。
というのも、ここ数年クルマ屋さんやポルシェの営業の方、個人の方から良いクルマがあるので買い取って欲しいということが多々ありましたが、これはというものはほぼ皆無でした。確かに徹底的に手を入れればものになるというのも無きにしもあらずでしたが、そのための労力と費用を考えたらとても販売できる金額では収まらないと見送ったわけです。
そんな中で現在のナロー高騰の状況から判断して、今後新たに購入してM-HOUSEレベルですと申し上げられる状態にして販売すると、年式を問わずSであるならば2千万円という数字が小さな数字に思えてきます。
参考までにあるナローを買い取ろうかどうか迷った時、大体いくら位かかるか、M-HOUSEの部品在庫状況(レア物のあるなし)、加工屋さん等ご協力いただける皆さんの状況(やってもらえるかと時間的猶予)などを考えたら、金額も含めお届けできるという100%の確証は持てないという結論に達しました。
そういう中でも日々、お約束したクルマは完成に向けて一歩づつ進んでいます。
ナローを取り巻く社会状況(世界的にも)、もちろんM-HOUSEの状況も含めて考えると、いずれにしても早い者勝ちと言っていいと思います。アメリカでよくある、徹底的にレストアしましたという、すごく綺麗ではあってもオリジナルの新車時とは似て非なるものでは嫌だ思っておられる方々にとってはです。
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