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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第310話 女優 中村優子
 突然ですが、堺雅人さん主演の「クヒオ大佐」という映画をご存知ですか。
 詳しくは皆さんにお調べいただくとして、簡単にいうと堺雅人さん扮する日系アメリカ人の空軍パイロットが結婚詐欺を働く、出会う女性を騙すというものです。
 この映画に中村優子さんが出演しています。銀座のクラブホステス役です。私は映画館で初めて見たときに、正直本物のホステスさんだと思いました。水商売の世界には、女優さんを目指している、女優さんだけでは食べていけないのでアルバイトをしている、ホステスをしながら芸能界への機会を伺っているという方がたくさんおられます。私はてっきりそういう方だと思いました。そのとき、本職のホステスさんが演じているのだからこのリアリティーは凄いけど当然かと思っていました。恥ずかしながら、その後CBC開局60周年記念スペシャルドラマ「初秋」(昨年10月放送)を拝見するまでは。
 このドラマでは、主演の役所広司さんの昔の彼女の役でごく短時間の出演でしたが、まだ気温の高い(初秋だから?)時期の着物姿が妙に色っぽい、昔の彼氏に再会する女性の雰囲気と存在が見事でした。すぐには「クヒオ大佐」のホステスさん役の方だとは気がつきませんでした。そしてこのとき初めてホステスさんではなく本物の女優さんだったのだと”やっと”気づきました。
 次に拝見したのは、NHKの朝の連続テレビ小説「カーネーション」の終盤、主役が尾野真千子さんから夏木マリさんに変わってからで、二人の子供を持つ末期ガンの患者さんの役でした。主人公が、病院内で職員、患者さんによるファッションショーを開くという中で、病状が重く参加が許されず、いつも見学している、しかし最終的にはショーに出演して、奇跡的に回復するという役でした。実は、この女性が中村優子さんだとは全く気がつきませんでした。
 拝見するたびに、中村優子だと、同一人物だと感じさせない女優さんです。上記以外にもコマーシャル、映画に出演されていますが、そのどれもが同じ人だと思えないのです。確かに、ストリッパー役の「火垂」や余命短い美しき愛人役の「血と骨」など記号性の高い、ある意味演じやすい役が多いという方もおられるかもしれませんが、アサヒフーズやミスドのコマーシャルを見るとそういった指摘が全くの的はずれであることが理解できます。
 日本中に、自称も含めたら男女何十万人も俳優さんがいると思います。実際のところプロの俳優さんだったら、先ほど申し上げたくらいの演じ分けは誰でもできるのかもしれません。
 しかし毎日ドラマや映画、テレビのCMなどでたくさんの俳優さんを目にするわけですが、中村優子さんのように感じた女優さんは今まで皆無でした。



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