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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第46話 ポルシェな人々 その27
ポルシェにまつわる様々な人々の、本人にとっては誠に真剣な、はたから見ていると実に楽しい愉快な生態をシリーズでお話ししましょう。

旧いBMWを買いそうになったNさん(S代表といっしょじゃなかったらどうなっていたかの巻)

前話のNさんとうとう旧いBMがほしくなって、実際の行動に出ました。Nさんから電話がかかってきました。

S代表「はい、M-HOUSEです」
Nさん「もしもしSさん、Nです。今いい?、早速なんですけど、今度の日曜日時間あります?」
S代表「1時からお店ですが、お店にいらっしゃるのですか?」
Nさん「いや、ヤフーに旧いBMの5が出ていて買おうかなと思っているんですけど、一緒に見に行ってくれませんか、勿論見料はちゃんとお支払いしますので」
S代表「1時までに戻ってこられるところだったら、いいですけど」
Nさん「場所は千葉なんですけど、1時までに戻ってこられると思うのでいいですかね」
S代表「いいですよ、どうしたらいいですか」
Nさん「じゃあ、ちょっと早いんですけど砧に9時に迎えに行くので、ボクのクルマで行きましょう」
S代表「了解です」
Nさん「アポはこれからなんですが、相手の日曜の予定はだいたい聞いてあるので大丈夫だと思います。変更がなければこのままお願いします。ダメそうだったら電話します」
S代表「わかりました」

といった話しでした。
次の日曜日千葉の○○道路、××インターを出たところでNさんが電話をすると、相手の方が迎えに来るというのでそこで待っていました。しばらくして、白の535がやってきました。パッと見たところなかなかきれいそうでした。お互い紹介しあって近所のファミレスの駐車場に移動しました。
二人はボンネットを開けたり、トランクを開けたり、どこを直したとか、オリジナルがどうとかこうとか、いいクルマの数が少ないとか、いろいろなことを話していました。私は、少し離れ見ていたのですが、一カ所だけ見たいところがあったので、二人がそこを見た時一緒にさっと見渡しました。しばらくしてNさんが、

「Sさん何か聞いておきたことあります?」
といってきました。私は、白の535の方に、
「お仕事は何ですか」
とたずねました。
「カーコンビニをしてます」
と白の535の方はいいました。
「そうですか、何かクルマに関係あるお仕事の方かなと思ったのでお聞きしました」
と話して、それから三人でナローの話しをして、割合盛り上がって、Nさんが、
「明日ご返事します」といって、別れました。

帰りのクルマの中で早速Nさんが聞いてきました。
Nさん「Sさん、どうですか?」
S代表「Nさんはどうでしたか?」
Nさん「ボクは結構きれいだしいいかなとは思うんです、思っていたより値段も安いし、確かに今Sさんが乗っているE28に較べると何か違和感あるけど、買ってもいいかなと思っているんだけど」
S代表「そうですか」
Nさん「そうですかって、もったいつけないでいってよ」
S代表「パッと見はきれいなんで、パッと見どうかなと思ったんですが、近づいて見て、ダメだと一発でわかりました」
Nさん「えー、どこがダメなの?」
S代表「簡単にいうと、外装がきれいな割に内装やエンジンルームが疲れていましたよね」
Nさん「サンルーフの内側の布というか、ビニールが外れて垂れ下がっいたのがボクも気になったんだよね」
S代表「ワンオーナー9万Kmということでしたよね」
Nさん「そう」
S代表「ワンオーナーのクルマが持っている大事にされてきた感というのが全然感じられないんです」
Nさん「確かに」
S代表「ドアのヒンジも錆びていたし、各SW類も手荒に扱われてきた感じがあって、さっきもいいましたけど大事にされていたとは考えにくいですよね」
Nさん「じゃやっぱりダメですかね」
S代表「いや、ダメとは限りませんせんけど、仮に今ボクが乗っているE28くらいのレベルにしようとすると、200万円以上は確実に出ますね、内装、天井、イス、ダッシュがありますから」
Nさん「そう」
S代表「帰りに記憶が鮮明なうちにうちのE28見て較べてみるといいですよ」
などといっているうちに首都高も降り口になり、M-HOUSEに戻ってきました。

Nさん早速裏のE28のところにいって、いろいろなところを眺めているようでした。しばらくして、確かにいわれる通りだわ、明日断るといってお帰りになりました。
結局Nさんはそのクルマを買いませんでした。その後そのクルマがどうなったのかなと思っていたところ、Nさんから電話がありました。

Nさん「昨日ヤフ−見たんだけど、あのクルマ結局落札されたみたい」
S代表「そうですか」
Nさん「金額もかなり入っていて驚いたよ」
S代表「そうですか」
Nさん「買った方と売った方両方の評価を見たんだけど、なんて書いてあったと思う?」
S代表「わかりません」
Nさん「売った方はお決まりの内容なんだけど、買った方のコメントがさあ、『メールでお聞きしていた通りこんな程度良いクルマはなかなか見当たりません。すごくきれいで気に入りました。取引きもスムーズで機会がありましたらまたよろしくお願いします』だって」
S代表「そうですか」
Nさん「外装は確かにきれいだったけど、それに較べて内装はお世辞にもきれいだったとはいえなかったよね、あのクルマ」
S代表「確かに外見はきれいでしたよね、でも相手が磨き屋さんですから当然ですけどね」
Nさん「何でみんなトータルで見ないんだろうね」
S代表「Nさん、この間なんていったか覚えていますか?こういったんですよ『ボクは結構きれいだしいいかなとは思うんです、思っていたより値段も安いし、確かに今Sさんが乗っているE28に較べると何か違和感あるけど、買ってもいいかなと思っているんだけど』って」
Nさん「そうだったっけ、そんなこといったような気もするけど」
S代表「まあ、それはいいですけど。ヤフ−の評価が一般な話しなんですよ。みんなクルマを外見でぱっと見て、その判断でいいとか悪いとかいっているだけなんですから」
Nさん「・・・・・」
S代表「前にあるクルマ屋さんにいわれたことがあります。『中古は外見だから、きれいに磨くか、それでダメならパーッと一吹きして見場良くすれば売れるんだからって』まったくその通りだと思わざるを得ませんね」
Nさん「確かに外見で判断しちゃうよね」
S代表「取り敢えず良かったじゃないですか、あのBM買わないで済んだんですから」
Nさん「うん、でもちょっと残念かな」
S代表「何が残念なのですか?夢を見られなかったから?」
Nさん「そう」
S代表「そういう人多いんですよね。夢を見れなくて残念だったっていう人。でも中古車の前で見られるかもしれないと思う夢は、ほとんどが悪夢なのに」
Nさん「そうだよね、ボクはM-HOUSEのSさんについていきます!」
S代表「ははは・・・・・、」
とS代表何かいいかけて言葉を飲み込みました。


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