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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第65話 ポルシェな人々 その37
ポルシェにまつわる様々な人々の、本人にとっては誠に真剣な、はたから見ていると実に楽しい愉快な生態をシリーズでお話ししましょう。

デートはポルシェで決めようは初心者の証(あかし)

先日うちのお店で、何台もポルシェを持っておられるお客さまと数年前にポルシェ(うちではない)を買われたお客さまがたまたま一緒になられました。仮にTさんとNさんとしましょう。その時の事を再現してみると。

Nさんが私に、
「この間仕事で知り合った女の子がポルシェに乗ったこと無いっていうから、乗せてあげたんだよ」
私が、
「それは良かったじゃないですか。それでどうでした?」
Nさん、
「それでどうでしたって、その後どうなったかっていうこと?」
私、
「いやいや、私の聞きたいのはNさんの心の中ではなくて、その女の子ポルシェに乗せてもらってどうだったか、何と言っていたかというこです」
Nさん、
「それがさあ、喜ばないし、予想していたのと何か全然違う感じだって言うんだよね。こっちは休みの日にポルシェを出して勇んで行ったけど、何か当てが外れたって感じだったよね」
私、
「それは残念でした。」
そんなやりとりのあと、Nさんは程なくしてお帰りになりました。

それからTさんとしばらくお話をしていて、Tさんがこんなことを言いました、
「あの人まだ良くわかっていないよね。」
私、
「そうですね」
Tさん、
「ポルシェやフェラリはデートカーじゃないよ。スポーツカーだから音もうるさいし、振動もするし、自分一人で格闘してそれを楽しむものだよ」
私、
「おっしゃる通りだと思います」
Tさん、
「ポルシェでデートを決めようっていうのはポルシェ初心者の証ですよ。デートに行くならBMかベンツです。もうわかったと思うけどね」

ズバリ見切った話をされたTさんをお見送りして、さすがTさん数乗り込んでいる人は違うなと思った一日でした。