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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第68話 ポルシェな人々 その39
ポルシェにまつわる様々な人々の、本人にとっては誠に真剣な、はたから見ていると実に楽しい愉快な生態をシリーズでお話ししましょう。

シートの修理

先日こんな電話がありました。
電話主「シートをレストアしたのですが、どうもしっくりこないのですが、M-HOUSEではどう直しているのでしょうか」
S代表「お電話で説明出来ないのですが、一言でいえばオリジナルの新品の座り心地を再現するということです」
電話主「私もそうしてくれと業者に頼んだんですが、それがよくわからんのです」
S代表「希望通りに直ったかがですか」
電話主「そうです。あるサイトを見ていたら、シートレストアをした記録のようなものが載っていて、元のシート表皮を使ってなかのあんこをウレタンで整形してというのがあったので、その写真を持って行ってこの通り直してくれと頼んだんです」
S代表「はい」
電話主「業者はいわれた通りに直したというんですが、何か違うんじゃないかと思うんで電話したんですが」
S代表「はい、正直お電話だけでは何とも申し上げにくいのですが、察するに、パンパンに張り過ぎた感じがするんじゃないですか?」
電話主「そうなんです、何か沈み込むような感じが全然しなくて」
S代表「サイトに出ていたという方法、それがどういうものか良くわかりませんが、うちでやっている方法は違うとしか申し上げられません。どちらにしてもお電話ではどうしようもありません」
電話主「そのやり方を教えていただけませんか」
S代表「はじめに申し上げた通りそれは電話では無理です」
電話主「お宅ならそういうことわかるかと思って電話したんですが」
S代表「そういっていただけるのは、うれしいような困ったことです。どちらにしても、一度そのシートを持ってお越し願えませんか?」
電話主「私は関西なので行かれんのです」
S代表「送っていただいてもOKですのでよろしくお願いいたします」
電話主「わかりました、検討します」
S代表「では」

シートの修理は、実に微妙で大変なのです。直すシートのくたびれ具合、左右の違いなど諸条件を同等に且つオリジナル新品時代を再現するのは非常に困難なことといえます。そのためには、腕のいい職人さん、修理を依頼する側の希望の座り心地とそれを伝える力量さらに可能ならイスの構造と修理方法の知識、そして時間と費用が必要です。これらが全部揃ってやっとオリジナル新品時代が実現出来るといえます。シートの修理ひとつとっても一般の方には大変なことだとお察しいたします。


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