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第78話 Code M78
Nさん
「Sさん、今日は折り入って聞きたいことがあってさあ、来たんだけど」
S代表
「また何ですか、改まって」
Nさん
「いつもね、クルマを預けて電車で帰る時は小田急線の祖師ケ谷大蔵の駅から乗るじゃない」
S代表
「ええ」
Nさん
「そこで前から感じていたんだけど、そのことをちょっと聞いてみたいんだ」
S代表
「祖師ケ谷大蔵の駅までうちから近くていいでしょ。5分もあればホームに立てるでしょ」
Nさん
「うん、ほんと近いよね」
S代表
「駅近なのが結構自慢なんですよ。普通クルマ屋さんっていうと、駅から遠いでしょ。クルマ使用を前提としているから」
Nさん
「確かにね、・・・じゃなかった、ボクがいいたいのはそんなことじゃなくて」
S代表
「複々線になる前の駅の話?」
Nさん
「Sさん、ちょっと話の腰を折らないでよ。何言いたかったのかわかんなくなっちゃうじゃない」
S代表
「すみません」
Nさん
「えーと・・・、そう、祖師ケ谷大蔵の駅から乗ったり降りたりするたんびに感じるんだよね」
S代表
「はっ・・何を」
Nさん
「何か感じるんだよね、何て言ったらいいか、上手く言えないんだけど。地下鉄の階段を出たら目の前に大きな建物があったというか、何か官庁街の真ん中にいるような、何か大きな会社や機構の一角にいるような、そんな感じなんだなあ」
S代表
「そんなことないでしょう、急行も止らないし、日大の商学部は祖師ケ谷大蔵が最寄り駅ですけど、その他取り立てて大きな建物もないし、強いていえば駅から少し遠いですけど、とんねるずの木梨則武の実家、木梨サイクルがあるくらですよ」
Nさん
「いや、Sさん確実に何かあるよ、だって何回も同じ感覚になって、確信があるから今日はじめて聞いてるんだもの」
S代表
「そうですか、Nさん時々変なこと言うからなあ」
Nさん
「じゃあ聞いてよ。そんな感じになることが度々あったので、どうしてかといろいろとボクなりに考えてみたんだ」
S代表
「ええ」
Nさん
「祖師谷ケ大蔵って、円谷プロダクションがあったんだよね」
S代表
「ええ、らしいですね」
Nさん
「商店街もウルトラマン商店街っていうんだよね」
S代表
「何かそうらしいですよね、商店街の若手がはじめたらしいですよ」
Nさん
「駅の電車の接近到着の知らせと発車のベルが、上りがウルトラマンのテーマソング、下りがウルトラセブンのテーマソングなんだよね」
S代表
「そうですけど、それがどうかしました」
Nさん
「それに東宝の砧撮影所にも行けるよね」
S代表
「はい」
Nさん
「東宝の砧撮影所には特撮用の大きなプールがあるよね」
S代表
「ああ、あれはもう取り壊して埋めてしまいましたから、東宝はもう我々とはもう何の関係もありません」
Nさん
「えっ!、Sさん今なんて言った?」
S代表
「いや何も、プールは埋めたって」
Nさん
「いや、その後東宝はもう我々とはもう何の関係もないって言ったでしょ」
S代表
「そんなこと言ってませんよ」
Nさん
「いや言った、Sさん我々って言った、我々っていったい何こと」
S代表
「何でもありませんよ」
Nさん
「それに、もうひとつ気になることがあるんだ、 どうしてM-HOUSEは祖師ケ谷大蔵にあるの」
S代表
「別に理由なんかありませんよ、たまたまうちの所有物件だっただけですよ」
Nさん
「じゃあ何でM-HOUSEって言うの、自動車屋っぽくない名前じゃない。何か賃貸の不動産屋か犬のペットショップみたいな名前でしょ。普通付けないよね」
S代表
「そんなことないですよ、たまたま建物の名前がM-HOUSEだったからですよ」
Nさん
「じゃあ、何で建物をM-HOUSEって付けたの?」
S代表
「えー、それは・・・」
Nさん
「やっぱ答えられないじゃない、それにHPのアドレスがhttp://m-house.m78.com/でしょう」
S代表
「それがどうかしました、それはプロバイダ−のKIWI internetの問題ですよ」
Nさん
「いや、KIWI internetを調べたら、そのm78はM78星雲からとったと書いてあったよ」
S代表
「たまたま何かの偶然でしょう」
Nさん
「Sさん、本当のことを教えてよ、誰にも言わないから」
S代表
「・・・・・・・・・・・」
Nさん
「ねえ、ねえ、・・・・」
S代表
「わかりました、Nさん誰にも言ってはダメですよ、もしも誰かに喋ったらNさん命はないと思ってください」
Nさん
「・・・うん、わかった」
S代表
「確かに、この祖師ケ谷一帯は特殊な場所です。M78星雲からはじめてウルトラマンが地球に降り立ったのはここ祖師ケ谷です。正確にいうとそれ以前にウルトラQの怪獣達が地球に来て、地球人を惑わす行動を開始した場所がここ祖師ケ谷なんです。その後、追うようにウルトラマンがこの地に降り立ったのです」
Nさん
「やっぱりそうだったんだ。何かあると思ったけどやはり」
S代表
「だから、祖師ケ谷一帯はウルトラの地球における聖地なのです。地球を守るために多くの兄弟がこの地にやって来ていますが、その隠れみのとして円谷プロダクションを設立し、東宝の協力を得てこの地に根を降ろしたのです」
Nさん
「そうかあ」
S代表
「そして、私達の地球上のランドマークであり、活躍の原点であった特撮プールを閉鎖、取り壊してしまったことにより東宝とは関係が絶たれたのです」
Nさん
「なるほど」
S代表
「だから、Nさんが感じられた感覚は正しかったのです」
Nさん
「やっぱり。ところでM-HOUSEとはどんな関係なの?」
S代表
「ウルトラマンが地球に降り立つ遥か以前に、M78星雲の科学者たちは地球の中で一番科学の進んだドイツの科学者とコンタクトをとっていたのです」
Nさん
「へー」
S代表
「その中の一人にポルシェ博士がいたのです」
Nさん
「それで」
S代表
「M78星雲の科学者たちは、彼等にいろいろなことを伝えたのですが、なかでも、地球が外敵から攻撃されたり、環境の破壊から人類が存続の危機に直面した時それを乗り越える知識を授けたのです」
Nさん
「それとM-HOUSEとどういう関係があるの?」
S代表
「それらはポルシェ博士にも伝えられ、自分の死期を予感した博士は息子のフェリー・ポルシェ博士に託しました。息子のフェリー・ポルシェ博士はそれらの知識を何台かの356と911のなかに封じ込めることで残したのです。そうした何台かのクルマは工場を出てからも特別なクルマとして長く大切にされてきましたが、その面倒を見てこられた方々がご高齢になられ、911に関して、現在はM-HOUSEがその重責をになっているという訳です」
Nさん
「だから、M-HOUSEの取り扱うナローはどれもすばらしいコンディションなんだ」
S代表
「そーなんです。でも大変なんですよ、その責務を果たすのは」
Nさん
「いやー、大変なこと聞いちゃった。どうしよう」
S代表
「絶対に人に話してはいけません。人類の存続に関わることですから。もし、漏らすようなことがあれば命はないと思ってください、聞いた以上はもう関係者ですから」
Nさん
「これからどういう風にしていけばいいんでしょうか」
S代表
「一番大切なことは、今まで以上にお金をかけてご自分のナローの維持に努めてください」
Nさん
「どのくらいお金をかければいいのですか」
S代表
「そうは言ってもNさんのおクルマは、当面お金がかかることはないと思うので、5年先10年先を見据えてしっかり貯金しておいてください」
Nさん
「そんなんでいいんですか」
S代表
「その心構えが大切なのです」
Nさん
「言われた通りにします」
S代表
「誓えますか」
Nさん
「はい、誓います」
Nさん
「という夢を見たんだ。あんまりに荒唐無稽だから笑っちゃったんだけど、忘れないうちに話しておこうって今日来たんだ、ああスッキリした」
S代表
「面白い話ですねえ、思わず引き込まれてしまいましたよ。まるで冗談と言っては失礼ですが、夢ってほんと荒唐無稽だけど、Nさんの頭の中ってどうなってるのか興味が湧きました」
Nさん
「失礼だなあ、でも、M-HOUSEとM78と祖師ケ谷大蔵駅とウルトラマン商店街と円谷プロダクション無関係とは思えないよね」
S代表
「ハハハ、」
Nさん
「それじゃあまた来ます」
S代表
「また、面白い夢見たら教えてください。ありがとうございました」
すぐにNさんの潜在意識からあの夢の記憶を消してもらって置かなくては
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