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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第87話-2 ポルシェな人々 その44
Nさんの夢

先週(第87話-1)の続き・・・・・

Nさん
「はじめはボクもそう思ったんだ。だけど聞いているうちになんかえっ!、って事をいっているんだよ」
S代表
「何ですかそれ」
Nさん
「どうやら、トーマスが立ち往生しているらしいんだ」
S代表
「何ですかそれ」
Nさん
「あの機関車トーマスが立ち往生してんだよ」
S代表
「Nさんさっきは夢の話だっていうから聞いていましたけど、また夢の話ですか?」
Nさん
「いやいや、ボクもこれは夢じゃないよな、夢は今朝見たんだし、今日一日仕事をして戻ってきたんだし、それでテレビをつけたんだから、これは夢じゃ無いって、頬もつねって見たよ。痛かったし。今度は夢じゃないって確信したんだ」
S代表
「はぁ、まあいいや、取り敢えず話を聞きますよ」
Nさん
「良く話を聞いてみると、トーマスが田舎の支線の奥に入り込んで全く動けなくなってしまったんだ」
S代表
「だってバックすれば戻れるでしょう」
Nさん
「それが廃線になったところで、両側が凄く狭くなったところで、水や石炭の補給も出来ないところなんだ」
S代表
「ちょっと待ってくださいよ。取り敢えず話は伺いますといいましたが、もう少しきちんとした話をわかるようにしてください」
Nさん
「わかりました。何か嫌がられているみたいだな」
S代表
「いや、そういう訳ではありませんけど、もう少し整然とお伺いしたいのですが」
Nさん
「じゃあ、かいつまんでいうけど、機関車トーマスが客車のアニーとクララベルにからかわれて、いたたまれなくなって家出というか走り出しちゃったんだ。そしてずっと走って石炭も水も使い果たして廃線になった支線の奥に立ち往生してしまったというわけなんだ」
S代表
「はい、それで」
Nさん
「何か冷たいな」
S代表
「いやそんな事ないですよ、それで」
Nさん
「テレビを見ていたら、レポーターの質問にトップハムハット卿が答えていて、割合近い幹線を走っていたゴードンを向かわせたんだが、現場が狭すぎて幹線専用の彼では近づけず引き戻す事もできない。そこで困って、国際救助隊に応援を要請したらしいんだ。そうしたら、国際救助の装備ではどれも大掛かりで、国際宇宙ステーションでの事故とか、大規模爆発やテロ、地震噴火台風などの自然災害は想定してるけれども、今回のようなケースは想定していないと断られてしまったんだ」
S代表
「じゃあサンダーバードは出動しなかったんだ」
Nさん
「そうなんだよ。乗ってきたねSさん」
S代表
「そんな事はいいですけど、それからどうしたんですか」
Nさん
「トップハムハット卿は困ってしまって、国際救助隊にアドバイスを求めたんだ。そうしたら、日本で良く使われているような、小型のユンボのようなものを使ったらどうかといわれたんだけど、イギリスには小型のユンボはなくて、代替えにリアエンジンのポルシェで引っ張ってもらおうという事になったんだ」
S代表
「それは名案かも」
Nさん
「Sさんもうその先は言わなくても良いよね」
S代表
「何ですか?」
Nさん
「実はこの話みんな知ってるから素っ気無い態度だったんでしょう?」
S代表
「何の事ですか?」
Nさん
「そこまで言うのなら話すよ!」
S代表
「ええ」
Nさん
「それで数少ないけどその地方に古くからいるポルシェに頼んだんだけど、どのポルシェも無理だ、トーマスは重い、そんな奥までポルシェじゃ行かれないってみんな断ったらしいんだ」
S代表
「はい」
Nさん
「それでちょうど映画「カーズ」のプロモーションでイギリスに来ていた有名ポルシェのサリーに頼む事になって、ロンドンに滞在中の彼女に、断ったポルシェ達の説得をしてもらったんだ。そうしたら、ケリーが私でもそれは無理って言うんだ。そして途方に暮れていた、トップハムハット卿にサリーがひとりだけそれができる人物がいるって言ったんだ」
S代表
「そうですか」
Nさん
「もうとぼけないでよ」
S代表
「いや、最後まで話してくださいよ」
Nさん
「わかった。その人は日本人で古い911のことなら何でも知っている、この人のいうことなら必ず聞くはずだって。それで急遽日本に電話をしたら、何とSさん、あなたの声がするじゃない。ちょっとかん高い、Sさんの」
S代表
「ええ?」
Nさん
「まあいいや、最後まで知らんぷりをするならみんな話してしまいましょう。事の次第を聞いたSさん、一台のポルシェに向かって、何やら呪文のようなことを言ったんだ。映画「ベイブ-1」の最後に、羊に言うことをきかすために、主人公のベイブが教わった呪文を言ったように。そうしたら、その911、了解なんて言って、積めるだけの石炭と水をフロントのトランクに入れて、トーマスのすぐ後ろまで行って、トーマスに石炭と水を補給して、渾身の力で、引っ張って救出したんだ。ポルシェはバックでトラクションがかかるから」
S代表
「確かに電話があったので、ちょっとナローを説得しましたよ」
Nさん
「いやー、イギリスはもう大騒ぎだったよ」
S代表
「そうですか、一言言っただけだったんですけどね」
Nさん
「なんて言ったの?、教えてよ」
S代表
「それはダメ。ボクと佐野さんの秘密だから、じゃなかった、ボクとフェリーポルシェ博士の秘密だから」
Nさん
「明治の牛乳のコマーシャルなんかパロってないで、ほんとの事教えてよ」
S代表
「それは出来ません」
Nさん
「まあ、トーマスは無事救出されたし、みなめでたしめでたしだったんだからいいか。いずれ教えてね」
S代表
「ダメ」
Nさん
「ケチ」

当機、間もなく成田国際空港に着陸いたします。どなたさまも座席の背もたれを元の位置にお戻しになり、ファーストクラス、ビジネスクラスのお客さまはフットレストとヘッドレストも元の位置にお戻し下さい。これより先空港ビル内にお入りになるまですべての電子機器の電源をお切り下さいませ。なお、携帯電話の電源も空港ビルにお入りになりますまではお控え下さい。引き続きご旅行をお続けになるお客さま、乗り継ぎ便のお尋ね等当社地上係り員までお申し出くださいませ。また、本日はテロ予告のため、一度空港に引き返しましたため、到着が予定より2時間以上も遅くなりましたことを心よりおわび申し上げます。どなたさまも、どうぞ気をつけてお帰り下さいませ。本日はご搭乗ありがとうございました。

Nさん
「あーあ、やっぱり夢だったんだ。夢の中で夢を見てしまったんだ。参ったな、かなりヤバイな」


「一度空港に引き返した後、誰かひとり乗らなかったか?両側から抱えられるように」
「オレにもそんな風に見えたけど、カーテンの向こうで良く見えなかったからな」
「普通離着陸時はカーテン開けてあるはずだから、変と言えば変だな」


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