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ナローポルシェや、M-HOUSEをとりまく色々な事柄を綴った不定期更新のエッセイです
第95話 ポルシェな人々 その47
普通のサラリーマンなのですが

最近M-HOUSEを訪れる方々で、パーツの値段をお聞きになられた後や修理金額の概算をお聞きになられた後に、『私は普通のサラリーマンなので、ちょっとその金額では・・・・・』という話をされる方が多くなりました。

以前こんな場面を目撃したことがあります。
ミツワの営業所で、お客さんと営業マンが何やら揉めていました。それをちょっと再現してみると、
お客さん
「そんなことだったら車検取らなかったよ」
営業マン
「いやー、申し訳ないのですが、下取りはそれくらいがいっぱいいっぱいんなんです」
お客さん
「それだったら、車検取らなかったよ」
営業マン
「あの時は、ニューモデルが出て届くまでポルシェに乗っていたいから車検を取る、というお話だったと思うんですが」
お客さん
「そうだけど、車検費用が90万円、下取りが140万円じゃあ3月に車検取らないでそのまま売った方が良かったよ。車検代が下取りに反映されるのかと思ったよ」
営業マン
「はい、ですので下取り価格をアップさせていただいておりますが」
この後どうなったのか、私は自分のクルマが降りて来たので乗って帰ったのでわかりません。

こういう事は、国産ではあり得ないでしょう。このあと他のフロントマンから、928の場合でこの逆、車検費用の方が下取り価格より高かった例を聞きました。彼等の口ぶりから、あの客は何を言っているんだろうね、乗っているのはポルシェだよという、お金がかかるのは当然でしょうという、別世界の空気がそこにはありました。
1970年代初頭、911は年200台も売れていませんでした。ほしい人は私のような高校生を別にしても、その何十倍もいたはずですが、買える人はそのくらいしかいなかったということです。
昨今のナロー、及びパーツの高騰から、ナローポルシェをナローポルシェとしてきちんと整備をして乗っていこうとしたら、悲しいですが『私は普通のサラリーマンです』では、ちょっと無理と言わざるを得ないです。逆に希望を持たせることを言うようなお店、会社は?かも知れません。


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